「うー、寒い…」

カカシよりも一足先に任務が終わった私は、今報告書を提出しに行った彼を待っている。別々の任務だったけれどこうして時間が合ったのはとても嬉しく珍しいこと。少しで良いから、一緒にいれたらいい。ただ、デートのために図々しく中で待っているのはどうかと思い、こうして外で待っている……んだけど。

「雪……積もってるなあ」

任務帰りだったからマフラーなんかしていなくて、大きなコートのフードをすっぽりと被る。ホワイトクリスマスなんて素敵だけれど、さすがに夜になるとこの寒さ。体の熱が奪われていく。

「葵さん?」
「あ、イルカ先生」
「あ、じゃないですよ……!こんな寒いのに」

ちょうど通りかかったイルカ先生は、ふにゃあと笑った私にあきれたような顔をして、コートにかかった雪を手で払ってくれる。またすぐに積もっちゃうと思うんだけどなあ。

「何も外にいることは……こんなに冷たくして」

頬にそっと触れたイルカ先生の手は暖かい。ずっと手、ポケットの中に入れてたのかな。その暖かさが寒さをより一層際立たせ、私はぶるっと身震いした。

「良いんです、あの……あの人を待ってるから」
「それじゃあ、一緒に中に「葵!?」

よく知った声が耳に入ったかと思えば、ぐいっと体を後ろに引っ張られ、すっぽりと何か温かいものに包まれる。慣れた匂いに包まれて、安心出来る。

「それじゃあ僕はこれで。風邪ひかないでくださいね、葵さん」
「はい……ありがとうございました」

イルカ先生が行った後も、カカシはなかなか離してくれない。雪の中いつまでも外にいるなんて滑稽かもしれないけど、私にはこの温もりがあれば充分なのだ。

「二人で何してたの?」
「んー……イルカ先生の手が温かったよ」

そう言うと、はぁーと白いため息をつかれた。

「葵は無防備すぎ。こんな暗い中で、悪い奴に会ったらどうすんの。しかも風邪ひくでしょ」
「大丈夫。だってカカシが来てくれるって分かってたから」

そう言って笑えば、困ったように眉を下げて笑ったカカシの顔が近づいてくる。

「風邪ひいて心配するのはオレなんだよ」
「その時は、看病してくれるでしょう?」
「……まったくもう」

まあ、悔しいけどその通りなんだけどね。


そっと瞳を閉じて合わさった唇だけ、熱を持っているような気がした。


20111226

一日遅れましたが 皆さんメリークリスマス!




積もる雪、あなたの温度


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