「ねむ、い……もう駄目」
「寝なさいよ」
「駄目なの」

明日仕事で使う書類を整理しているところだった。さっきから隣で寝ぼけ眼を必死で擦っているのは彼女の葵。学生時代からの仲で、今となってはお互い社会人。彼女は真面目だから今日も仕事で疲れているのだろう。時刻は23:50。もうすぐ日付が変わる。

どうして彼女が寝ようとしないのか、理由は分かっていた。でも健気な様子が可愛くて、わざと分かっていない振りをする。

「ね、カカシ」
「ん?」
「私が告白した時、キスしてくれたよね。まさか両思いだとは思ってなくて、びっくりしちゃった」
「……急にどうしたの」

口ではそう言いながらも、懐かしいな、と口角を持ち上げる。まあオレは両思いだとある程度分かっていたのだが。ただ、先に告白されたことだけが予想外だった。

「お前に先を越されたのはあれだけだな」

たいてい何をしてもオレの方が一歩先。勉強でも本を読む早さも料理を覚えるのも。ただ告白だけは違った。

「あれって?」
「いや?」
「あ、で、受験の時は一緒にいっぱい勉強して。一回帰り道に大雪降って困ったよね」
「受験生に滑るは禁句だったからなあ」
「大学行ってから、学部もサークルも違ったから喧嘩もしたけど。やっぱり仲直りして、」
「うん」

ちらちら葵が時計を気にしている。あと10秒。

「……だから、これからもっ……!?」

恐らく次に発せられるであろう、彼女の言葉を遮るようにキスをした。薄目を開いて時間を確認する。

「……っい、いきなり何…」

いつまでも反応が初々しい。そんな彼女に夢中なのはオレなのだが。

「……で?肝心の言葉は言ってくれないわけ?」
「なっ……カカシの意地悪!わざと遮ったくせに」

拗ねたようにそっぽを向いた彼女の後ろから腕を回す。

「ね、言ってくれないの?」
「……カカシ、誕生日おめでとう。結婚しよ?」
「……は」



なんだ、いつもこいつは大事な場面は掻っ攫っていくのか。これだから離れられない。









はぴばカカシ先生!大好き!



20110915




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