あ、あそこにいた。ごくりと唾を飲み込み、ゆっくりとそこに近づく。

しばらくすると、カカシが振り返った。


「葵、どうかした?なんか思い詰めてるような顔してるけど」

「急にごめんね……実は、ちょっと話があって」


心臓がどくんどくんと音を立てる。大丈夫、大丈夫。自分にそう言い聞かせて、深呼吸を一つ。


「話?」


カカシの顔が若干不安そうな色を見せる。この人にこんな顔をさせられるのは、恋人の私だけかなあなんて思ってみたり。


「うん……聞いてくれる?」

「ちょ、そんな泣きそうな顔するなって!ほら、話なら聞くから……」


ぎゅうっと抱きしめてもらって少し安心する。あったかいな。よし、今なら言える……!!


「あのね」

「うん」

「実は……」

「うん……」









「出来ちゃった……赤ちゃん」








「は?」


カカシがフリーズした。
ん?カカシがフリーズってなんか面白いな。


「ほ、本当に?」

「……」

「俺、ちゃんと避妊してたよな?いや、つけてても100%じゃないって聞いたことが」

「……(ぷっ……ぷぷ…っ)」

やばい、体が震える。


「赤ちゃん……子供……俺と葵の?
……葵ーーっ!!!!!!」


「ふがっ!?」


いきなりがばっと抱き着かれて、バランスを失いかけた。


「うおっと……悪い、腹の子が……。
俺は嬉しいぞ葵!」

ぎゅーっと抱きしめられ、髪に、額に、頬に唇を落とされる。

(ん?この展開……)


「俺はな、葵。ずっとお前に俺の子を産んでほしかった……!!夢みたいだ!じゃあ早速綱手様に頼んで育児休暇を……」

「あっあのねカカシ、今日は「いや、お前は待ってろ、俺が行ってくるから心配するな!」

言うなり瞬身の術で消えたカカシ。

「わわ!カカシ、待って、お願い!」

慌ててこちらも瞬身で後を追う。

「!何してんの……そんなに速く動くな、お前だけの体じゃないんだか「今日は、何の日?」

「今日?今日は記念すべき二人の子の誕生日……いや、誕生日ではないか」

「4月1日だよね」

「ああそうだな、春だから産まれるのは……」


そこまで言ってから、カカシがさあっと青ざめた。

お騒がせしました!

「ご、ごめんね?これはほんの冗談で……」
「本格的に子作りしようか?葵ちゃん」
「……ぎゃー!!」



20110401




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