01
「はあっ……こ、来ないで……あんたなんかカカシさんじゃない……」
ゆっくりと歩いて来る偽カカシから、這いずるように後退する。
「葵!あんたが帰ってきてあたし達も迷惑してんのよ!」
「懲りないなあ、まったく」
「いの、サクラ……じゃない……違う、違う!!」
首をぶんぶん振って、自分に言い聞かせる。
「いつかこう言われること……分かってたんじゃねえのかよ、めんどくせぇ」
「シ……シカマ……」
「お前なんか、あのまま消えていれば良かったのに」
恐ろしく冷たい瞳をした偽カカシに、悪寒が止まらない。
(嫌だっ……嘘でもこんなこと聞きたくない!!)
ぎゅっと目を閉じて両耳を塞ぐ。
本物じゃないことは分かっているのに、彼らが本当にそう思っているように感じられてならない。
(落ち着け、落ち着いて……これは本物のみんなじゃない、違うから、大丈夫……)
恐る恐る顔を上げると、いつの間にか彼らはいなくなっていて、少しほっとする。
「恐ろしいか?仲間を失うことが」
「!!誰……」
突如聞こえてきたその声に過剰に反応する。
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