03
「……ん」
いけない、またソファで寝てしまった。軋む体をゆっくりと起こすと、どこからか声が聞こえた。
(……?)
空耳かと思ったが、どうやら外で誰かが声を上げているようで。
未だ雨が降り続ける中、窓から外を見て、背筋が凍りついた。
「……カカシ、さん?サクラ、いの、シカマルまで……」
家の前で倒れているその4人。全員が酷い怪我をしていて、立ち上がれないようだ。
「!」
サクラが少しこちらを見て、私の名を呼んだのが見えた。
速まる鼓動を意識しながら、玄関のドアを開ける。
「みんな……」
声が震える。
冷たい雨に打ちつけられながら、ゆっくりと門を開けて足を一歩外に踏み出した。
「葵……お願い……」
「分かってる、サクラ……」
心を落ち着かせて、ゆっくりと印を組み目を閉じた。
「解!」
次の瞬間、さっきまで目の前にいた傷ついた4人は消えていた。
「はあっはあ……やっぱり……」
初めから分かっていた。だけど、家の前に転がられて決して気持ちの良いものではない。
誰かが見張っているのだろうか……早く戻ろう、そう思った時だった。
「何っ……!?」
突然ものすごい風が吹き上げる。
「くっ……」
食らったことがないから分からないけど、風遁の術……!?
「っ……きゃあああ!!」
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