02
「あ、雨」
雲行きが怪しいなあと思っていたら、案の定空が泣きはじめた。
「しばらくは雨になりそうだな」
「梅雨……?」
カカシさんと一緒に窓の外を眺める。やっぱり梅雨はあるのかなあ、こっちにも。
「急だけど、葵、梅雨が明けるまで修行は中止ね」
「え!なんで……?」
「お前のチャクラは、雨が降ると弱い」
「!」
もしかして、晴れている時に外でチャクラを回復させると、効果が上がるのと一緒で……。
「ま、本来のお前の力なら雨くらいそんな影響はなかったけど……今の状態じゃね」
「……そっか」
仕方ない……けど、歯痒い。そのためにも、早く強くなりたいのに。
「なんか、気まぐれだねー陽蓮は」
「まあそう言わずに。じゃあ、俺は任務だから」
カカシさんを見送って、ぼんやりとソファに腰掛ける。いざ暇だなあ、こうなると。
今のところ、特に何かあったわけではない。いや、あったといえばあったけど……シカマルの偽物がこの間来たばかりだし、気は抜けない。さらにその事は誰にも言っていない。
(ばれなきゃいいけど)
隠し事してるなんてばれたら、カカシさんに絶対めちゃめちゃ怒られる。
隠すのは、心配かけたくないっていうのもあるし、この世界に必要以上に情をかけたくないから……というのもある。
なんだかんだ言ったって、私は今でも元いた世界の人間だっていう意識があるから。記憶がないんだから当たり前かもしれないけれど……。
自分のことなのに、全て他人事のように映って仕方がない。
どれが現実なんだろう。何が本物なんだろう。
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