06
自分の存在をもっと知ってほしくて話しただけなのに。
そんなに優しい目をしないでよ。私はわがままで自分が可愛い甘ちゃんなんだよ。
「ありがとう、カカシさん」
この慰霊碑に名が刻まれている人達は、きっと里を愛していたんだろうな。
隣に立つこの人のように。
「……決めた」
「ん?何か言った?」
「不安だらけだと思うけど、俺達が絶対守ってやる。だから一人で無茶だけはしないように」
「頼むから、本当のことを言ってちょうだい」
「あと、こういう時くらい泣き喚いていいから……俺の前であまり堪えるな、こっちが寂しくなるでしょ」
「安心しろ……大丈夫だ。俺が、いるから」
カカシさんが私に言ってくれた言葉を一つ一つ思い出す。
ごめんなさい、その約束も守れないかもしれない。
恩知らずだって、分かってる。
だけど、これ以上頼れないよ。十分頼ったから。そろそろ私が立ち上がらなきゃ。
カカシさんには、里の事を気にかけていて欲しい。いつどうなるか分からない私の事なんかよりも、里の未来を。
元の世界の事を、人に話すのはこれでおしまい。
誰かの前で泣くのも、これで――おしまい。
何かあっても出来るだけ、ううん――絶対自分の力で解決するんだ。
人を疑うのは嫌。
今でも不安な気持ちになるし、正直何が正解なのか分からない。自分が一体何者なのか、それすらも分からない。
だけど、周りのみんなの気持ちを忘れちゃいけない。
――だから、私は私のやり方でやる。
もっと強くなる。もっと、もっと……
「付き合わせて悪かったね……帰ろうか」
「はーい」
こっそり心の中で呟いた。
(ありがとう……カカシさん)
たとえ一人になったとしても、私は私だから……!!
20110324
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