01
額から流れ落ちる汗を手の甲で拭う。こちらの季節は夏が近いのだろうか、じめじめしているからもう梅雨なのかもしれない。
(はあ……全然駄目だ)
「あの日」以来、一人で考え込む癖が再発してしまい、たびたび頭痛が起こる。風邪は治ったものの、修業もはかどらない。
「最近集中力が足りないな……」
「分かってるよ、カカシさん……けどこれより強いチャクラが練れないよ」
そう、今私がしている修業とは。
「前も言ったけど、これが出来なきゃ陽蓮の力が取り戻せない。とにかく集中だな」
「うー……」
その集中力がないんなら、できっこないよなあ……
掌から出た弱々しいチャクラの光にため息。
「必死な時は勝手に出せるのに……なんで出そうとしたら出来ないんだろ」
「だから今まで散々俺と戦ったりしてたんでしょ。今度は自分で出せるようにしないと意味がない」
(分かってる、だけど……)
頭では分かってるのに体がついていかない、それが一番歯痒い。
この前の夢の中らしき所で、強くなるから!なんて言っちゃったけど、先が見えない。
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