04
「!」
目が覚めると、窓から夕陽が差し込んでいるのが見えた。
しばらく夢心地で、さっきの出来事を振り返る。陽蓮、か……
そういえば普通に話してたけど、あれは人なんだろうか?
ふと時計を見ると午後4時。げ、私12時間近く寝ていたのか。だけどお陰でだいぶ体は軽くなったような気がする。
ベッドの横の机に、お粥らしきものが置いてあった。せっかくカカシさんが作ってくれたんだと思うけど、すっかり冷めてしまっている。
(あ、もしかしたら)
試しにお皿の上で掌を翳し、そこに意識を集中させると、思った通りお粥からほくほくと湯気が立った。
「うわ、便利!こんなことにも使えるんだ……いただきまーす」
(おいしい!)
本当にカカシさんは料理が上手い。こんな美味しいお粥、私作れないや……ちょっと悔しいかも。
お粥を食べ終え、器を下に持っていくと、シャワーを浴びたらしいカカシさんがラフな格好で髪の毛を拭いていた。
「お、体調どう?」
「だいぶまし……だけど、カカシさん、もしかして今任務帰り?」
「そ。すぐ終わらせて来たけどね」
「……」
(この人は……)
「葵?」
「駄目だな、私……覚悟は決めたはずなのに」
「うん、知ってるよ」
ぽつりと漏らすと拾ってくれる。
「忍の世界がどんなものなのか、話に聞いたりしてだいぶ分かってきたはずなのに……」
誰かが傷つくのを見るのが怖い、なんて。
「お願いカカシさん、怪我、しないで……絶対帰ってきて」
そう言うと、カカシさんは少し驚いたように目を見開く。そして頭を撫でてくれた。
「心配かけてごめーんね。約束するよ、ちゃんと帰って来るって。もしも、それでも怪我したら、葵が治してくれるんでしょ?」
「……うん」
「大丈夫だから。ほら、笑って!俺は葵の笑った顔が好きなんだから」
(!)
その言葉に必要以上に心臓が飛び跳ねた。何とか笑顔を作ると、もう一度ぽんぽんと頭を撫でられる。
「昔からそうだった……素直で可愛いとことか、元気な笑顔とか……ね?」
「……!!」
「葵?」
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