05

「キスぅ!!??」
「ちょっと、いつの間に!?」
「ほら、この前病院行って、家に帰って……夜に」

二人が顔を赤くしたり青くしたりしながらぶつぶつ言っている。(ちょっと面白い)

「ま、待って、だけど付き合ってない、のよね?」
「う……うん」

だから、分かんないんだよなぁ……

「あ!し、しかも今思ったんだけど、カカシさんって私の先生みたいなもんだったんじゃないの!?
だ、駄目じゃんやっぱり!!」

「だけどキスしたのは向こうでしょ?別に関係ないんじゃないの」

さらっと交わされ、さらに考え込む。それもあるけど、もうひとつ思うことは……

「カカシさんって…なんか、女の人に慣れてそうだし。年上だし。むしろ私は年下すぎるし。
私になんでキスしたのかも、全然分かんない……それ以来全く普通だし、何もないから。

はあ……」

思わずため息をついて落ち込んだ私を見て、慌てて二人が声をかけてくれる。

「そ、そんなことないわよ!カカシ先生はそんな人じゃないわ!
まあ、いつも人前で18禁の小説を平気で読むような人だけど……」

「そうよ!むしろ葵のこと好きなんじゃないの!?」

好きって……あの「好き」!?

「少なくとも、嫌いな人にキスなんかしないわ!」
「……そうなのかな」
「「そうよ!」」

カカシさんが私のことをどう思っているかは別として、二人に力強い声に少し元気が出た。

「ありがとう……もうちょっと様子見てみる」
「またなんかあったら、すぐ言いなさいよ」
「うん。じゃあ今日は帰るね!」

サクラといのとは道の途中で別れた。その間も二人が言っていた言葉が頭の中を木霊する。

(どうしよう……こんな話した後で、どんな顔をして会えばいいのやら)





「ねえ、サクラ」
「ん?」
「カカシ先生の家に居るんなら、当然葵は前と同じように生活してるんでしょうね」
「そうじゃない?カカシ先生も、わざわざ部屋を変えたりしてないでしょ」
「じゃあ、今も一緒の部屋で寝てるのかしら」

「「……(生殺しってやつか)」」





「ただいまー……あ、まだ帰ってないか」

ぽすんとソファに座り、クッションを抱きしめるとカカシさんの匂いがして落ち着く。いかにも恋する乙女の行動をしてしまった自分に、自分で恥ずかしくなった。

変なの。会ったばかりの頃は、こんなことなかったのに……何でこんなことになったんだろうな。


木の葉は今日も平和。
カカシさん、早く帰って来ないかなあ。


(刻一刻と近づくタイムリミットに、気付けないでいた)


20110318


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