07

暗闇の中で目が覚めた。目線だけ隣に向けると、カカシさんが椅子に座ったまま眠っているのが見える。帰ってすぐに来てくれたんだろうか、着替えもしていない。

起き上がることはせずに、今日の出来事を思い返す。

(私は、なんて無力なんだろう)

もしも、あの時一人だったら。どうなっていただろうキバが来てくれなかったら。
私が、もっと強かったら。自分を守れたら。シカマルは怪我なんてしなかった。


(休んでなんかいられない……!!)

ばっとベッドから身体を起こし、手首につけていたヘアゴムで髪の毛をきつく縛る。立ち上がった時に若干頭がふらっとしたが、構わず部屋から出る。

「どこ行くつもり?」

後ろから聞こえた声に足を止める。予想はしていた。この人が、私一人の気配に気付かないはずがない。

腕組みをしたまま、カカシさんがドアにもたれ掛かっていた。

「止めないでほしいな……カカシさん」

「まぁ、気持ちは分からないでもないよ。でも今日だけは駄目だ。身体を休めないといけない」

「っ……分かったの、カカシさん…私に何が足りないのか」

「……」

ぎゅ、と拳をにぎりしめ、苦々しい気持ちで今日のことを思い出す。

「私……いざ攻撃が出来なかった。相手を傷つける勇気がなくて、怖くて……っ
そんな生半可な覚悟だから、みんなを傷つけるんだよね……
もう自分のせいで誰かが傷つくなんて嫌!自分に腹が立ってっ……情けなくて」

(泣いちゃ駄目だ……これ以上泣いちゃ)

「もうやだ……傷つけたくない!守れないなんて嫌!強くなりたいよ、カカシさん…!」

だからお願い、分かって。


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