04
(ち、近い)
「頼むから、本当のことを言ってちょうだい」
その言葉がちくっと胸に刺さる。そしてもう一つ思ったこと。
それならどうしてカカシさんは、本当のことを教えてくれないの?
「信じて?本当だから」
「……本当に?」
「うん」
「ほんとのほんとに?」
「そうだよ」
あれ、だんだんカカシさんの顔がアップになってきたような。
これじゃ、まるで……
「カカシさんっ……どうしたの?これじゃまるで、」
恋人同士みたい、じゃん……
鼻先が触れ合いそう。いつもの彼と違う、
だけどそれ以上に私の鼓動も激しくて。昼間の一件の時とは違う風に。
「葵は……こんなことするの嫌?」
カカシさんが、ゆっくりと口布を下げた。綺麗な唇が現れる。それに魅入られたかのように、私は恐る恐る首を横に振ることしか出来ない。
「……葵」
「……ん」
静かに瞳を閉じる。頬にカカシさんの手の温度を感じ、次の瞬間唇に優しく柔らかい感触がした。
(知ってる……)
この温度も感覚も、
私、知ってる――――
20110310
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