01

「葵、団子食べない?」

「団子?」

あれからしばらく、サクラと呼ばれた女の子が病室からいなくなったかと思えば、団子を買ってきてくれたらしい。

「わ、ありがとう!甘いもの大好き」

みたらし団子を一口頬張る。ああ、幸せ。

「あ……私、今まで馴れ馴れしく葵なんて呼んでたけど……私は春野サクラ!」

「サクラって可愛い名前!」

日本人なら女の子はサクラだよねえ、なんて考えていたら、サクラの大きな瞳が潤んできた。

「え!?あ、あの……」

「ごっごめん……だって葵ったら、初めて会った時と全く同じこと言うんだもん」

「そうなの?」

じゃあ、私たちって仲が良かったんだね。というのを言うのはやめて、サクラに向き直る。

「私、こっちに来てから同い年の女の子と会ってなくて……サクラと話せて良かった」

「ふふ……そっか。葵の方がちょっと年上なんだけどね」

「あれ、そうなんだ」

やっぱり、女の子と話せるのは嬉しい。ずっと普通の女子高生をやっていた身からすると、こういう感覚が懐かしい。

「ねえ、サクラ。つまんないかもしれないけど、私の向こうの世界での生活の話、聞いてくれない?」

そう言うと、サクラが綺麗な瞳を輝かせた。

「聞く聞く!久しぶりのガールズトークね!」


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