04
「何で、うちはイタチが……!!」
「俺の事が分かるようになったか……」
「っ……」
金縛りでも起こったように身体が動かない。そのうえイタチにベッドの上に押し倒されたような状態のため、何も出来ない。
「知りたいか……?過去の自分を」
「!!」
「その反応だと、何も分かっていないようだな」
その言い方に少なからずカチンと来る。
「何も、じゃない!私は木の葉のに居た人間で、みんなと暮らしてたんでしょ……?」
そう言うと、イタチが目を細めて私の髪を掬う。
「本当に、それだけだと思うか?」
(え……)
「ならば、なぜお前に昔の事を教えない?記憶がないのなら、その記憶を教えようとするものだと思うが。
何も聞いていないのだろう」
その言葉に思わず絶句した。
確かに、的を得ている。
どうして何も教えてくれないんだろう?
無理矢理記憶を引き出すと頭が痛くなるっていうのは分かる。けど、教えてもらった時はそれほどきつい痛みは起こらない。自分で思い出した時の方がずっと、今回のように頭痛が酷いのだ。
何か、言えないような事でもある――?それとも、何か隠してる……?
ズキッ
「!」
「あ……嫌、痛い……は、はぁっはあ…っ」
(上手く息が出来ない!!)
「葵、俺の眼を見ろ……大丈夫だ」
気付くと目の前にいるイタチの眼が赤くなっていた。カカシさんも持っていたような眼。その吸い込まれそうな瞳を見つめていると、すう……と呼吸が楽になった。
「その瞳は……何なの?」
「写輪眼だ」
「写輪眼……?」
綺麗な模様だな、なんて思ってぼーっとしていると、頭をくしゃっと撫でられた。
「……?」
「知りたかったら……木の葉の外れにある森まで来い」
「っ!」
囁きにも近い声とその言葉に、心臓が嫌な音を立てた。
「いつでも……待っている」
何か言う前に、何かに気付いたイタチが身を起こした。私にも足音が聞こえる。
バタンと開いた扉の先に立っていたのは、ピンク色の髪の女の子だった。
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