03
「……そうか」
「はい。おそらく何か強いきっかけがないと彼女の記憶は戻りません。
断片的に思い出しているかと思っても、彼女はそれを客観的に『見ている』ような状態です。一つ『見た』ら全部関連付いて思い出しそうなものですが……そういうものでもなさそうですね」
そう。記憶を戻す要素は案外たくさん転がっている。特にうちはイタチの事を言った時は、ついに記憶が戻ったと思った。
「カカシ……お前の力なら、出来るかもしれん」
「!それは……」
その時扉がバタンと開いた。
「サクラ!ここは病院だぞ」
「サクラ……」
その様子だと、聞いたのか。
「綱手様、申し訳ございません…はぁっはぁ…葵はっ……帰ってきたって、本当……?今どこに……?」
「今は寝てるよ」
「カカシ先生……」
「聞いたんなら仕方ない。葵に会いたいなら、言わなきゃいけないことがある」
「記憶がない、のよね……」
(さすがサクラは察しが良いな)
さっきの会話から推測したのだろう。
「ねえ、顔見に行きたい……寝てるんでしょ。起こさないから」
「……行ってこい」
綱手様の一声に本当に嬉しそうな顔をして、彼女は駆けて行った。
「全く、ここは病院だと言ったばかりだと言うのに……」
頭を抱える綱手にまあまあ、とカカシが言う。
「サクラも変わりませんね。ナルトはどうなっているんでしょう」
「あの自来也の弟子だ……強くなって帰ってくるに違いない」
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