06
「っく……」
いつもと違う雰囲気のカカシさんに恐怖すら感じる。地面に手をついて起き上がろうとしたが、背中に重く苦しいものがのしかかってきた。
(何……)
後ろを振り向いても、カカシさんはただそこに立っているだけだ。
もしかして、これが殺気……?怖い。恐怖が頭の中を支配する。
「死ぬ気で来い。今のお前じゃ、周り云々より自分の身が危ない」
(待って……その台詞、どこかで聞いた……)
クナイを持ったカカシさんがゆっくり近付いてくる。恐怖で震える体を必死で起こす。力が入らない。
(このままじゃやられてしまう…なんとかしなきゃっ……)
目をぎゅっと閉じて歯を食いしばる。すると、急に体全体が暖かくなった。
「!」
(……いける!)
次の瞬間、思いっきり地面を蹴ると、体が一気に飛び上がった。
「……チャクラが少し戻ってきたな」
「!」
目の前に現れたカカシさんの攻撃を避けて、距離をとる。
「今の時点でそのスピード……さすがだな。そこは褒めてやる」
「っ……」
距離を縮めて手を伸ばすが、簡単に避けられてしまう。だが、手裏剣を使うのは気が引けた。
「体術はお前も得意だったが……これはどうだ」
カカシさんが額当てを押し上げ、普段隠れている左目を見せた。現れた瞳に思わず息を呑む。
「幻術……葵は一番苦手だった」
咄嗟に目を逸らす。が、突然激しい頭痛が襲い、私は地面にしゃがみ込んだ。
頭の中に急に何かの場面が流れ込んでくる。
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