05
「大丈夫?酔った?」
今私とカカシさんは演習場にいる。ここまで瞬身の術で連れて来てもらったのだ。そうすれば、私も顔を隠す必要がないし。
「いえ、むしろ気持ち良かったですよ」
「やっぱり、か」
「やっぱりって?」
「覚えてない?葵、前に俺が瞬身の術使ったとき吐きそうとか酔うとか言ってでしょ」
前って……あ、あの鮫達から逃げてるときか!確かにすごく気持ち悪かった。だけど今日は全然平気だった。
「ちょっとずつ、感覚を取り戻してるってことだな」
「……なんか信じられない」
「さて、じゃあ始めるよ。
葵には……感覚で思い出してもらう方が良いな」
バババッ
「!?ちょ、ちょっと……っ」
いきなり手裏剣が三つ飛んできた。私の反射神経がなかったら、今絶対当たってたって!!
「動きは悪くないな」
「そうじゃなくてっ……危ないじゃない!何すんの!」
「制限時間は今日中。お前が俺に少しでも触れることが出来たらお前の勝ち。
あ、傷をつけられたらでもいーよ。ほら」
クナイと手裏剣を半ば強制的に渡される。
「触れるって……」
トン、と目の前にいるカカシさんに触れた。と思ったら、そこには誰もいない。次の瞬間背後から囁き声がした。
「殺す気で来ないと、いつまでたっても指一本触れられないよ」
「!」
速い、速過ぎる。これが上忍のスピード、か。
でも……
「私、戦い方なんて全くって言っていいくらい覚えてないのに!こんな……っぐ!?」
いきなり後ろから背中を蹴られて、私は数メートル先まで吹っ飛んだ。地面にたたき付けられ、その衝撃で動けない。
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