04

「!」

「……あれ」

何してんだろ、私

自分の掌を呆然と見つめる。こんなことで傷が治るはずないのに。
だけど、さらに呆気にとられているのはカカシさんだった。

「あ、なんか反射的に手が動いて……なんでだろ、こんなんで治るわけない、ですよね」

「……いや」

カカシさんが私の引っ込めた手を再度引き、自分の傷痕のすこし上に置かせる。しばらくそうするが、何も起こらない。

「そうだよな……だって今は」

何やらぶつぶつ一人で呟いていたカカシさんが、私の方に向き直った。

「葵。今日から修業開始だ」

「え?」

「本当はもう少し後にでも……て思ってたんだけど、力があるに越したことはないし、よく考えると俺がお前にじっくり付き合ってやれるのもあとちょっとだから、ね」

その後ピンと来た。

「もしかしてさっきのも……」

「ああ、お前は医療忍術も使えたからな」

(そうなんだ……)

驚くべき事実かもしれない。人の怪我とかを治せるってことだよね。
それがさっき無意識に行動に起こったなんて……

「じゃ、腹ごしらえしたら早速行くよ」

「……はい。でもどうしてそこまでしてくれるんですか?」

そう聞くと、カカシさんはただ優しく笑って頭を撫でてくれた。


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