06
(本当に、カカシさんは、待ってるんだろうか)
夜、ベッドの中に潜りながらずっと昼間にシカマルが言っていたことを思い返していた。
正直言ってカカシさんに全てを話すのには躊躇していた。だけど、おそらくカカシさんと私は親しかったのだろう。心を閉ざされているのは少しさみしいかもしれない。
ベッドルームの戸が開いて、カカシさんが入ってきた。隣にごそごそと入り込んでくる気配を感じ、体を固くして寝ているふりをする。そういえば、カカシさんは上忍だから本当は任務で忙しいはずだけど、私がいるため今はしばらく任務から外れているのだという。
そこまでして、私に。
(……!)
頭を優しく撫でられた。掌から温度だけではないあたたかみを感じた。それは、なんだかお母さんのことを思い出させて、思わず涙腺が緩みそうになる。
(何でこんなに優しいの?)
この世界で今頼れる人なんて、限られている。それでも、この人の気持ちを無下にする?
私だって人間だし、近くにいる人といつまでもこんな風に接してるのは……嫌だ。
暗闇だったので何分経ったのか分からない。心を決めてから、ゆっくりと、カカシさんの方に体を向ける。
もう寝てるかな。寝てたら明日にでもゆっくり話そう。あ、でも昼間はダメ、顔見て話す勇気がないからまた夜にしよう。
そう思ってふと見ると、カカシさんとぱちりと目が合った。
「……!お、起きてたんですか」
始めてみる素顔に訳もなくドキドキした。普段は顔のほとんどが隠れているけど、こうやって見てみると(暗くてあんまり分からないけど)整った顔立ち。それにしてもどうしていつも隠すんだろう。もしやその顔立ち故にモテすぎるから?
「寝れないの?」
一人で馬鹿なことを考えていたら、カカシさんがそう言って優しく微笑む。なんだか切なくなって、胸の奥がきゅっとした。
「あ……あのですね」
なんか改めて言おうと思ったら緊張してきた。ゆっくりと息を吸い、少し下を向きながら口を開く。
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