03
「えっと……久しぶりだな。じゃねぇか、お前は覚えてねーんだもんなぁ……めんどくせぇ」
「……え」
少なからず最後の言葉に傷ついた私。そんな様子を見て彼は慌てて弁解した。
「ち、違ぇよ!別にお前のことじゃなくて、なんつーか……口癖なんだ」
「……ふふ、変なの」
「変はねーだろ……ていうかお前、やっと笑ったな」
「え?」
そう言えば、久しぶりに今心から笑った気がする。頬の筋肉が笑い方を忘れてしまったかのように、すこし強張っていた。
シカマルとは年が近い、だけど彼は落ち着いた雰囲気だから話しやすい。
「……ごめん」
「何が?」
「だって、昔友達だった人のことでさえ、思い出せない……」
そう言うと、そんなのことかと言わんばかりにシカマルが言った。
「関係ねぇよ。それよりも、お前が無事に帰ってきたことが一番だしな」
「……ありがとう」
「……気にならないか?」
「何が?」
「……なんで、自分の記憶がないのか、とか」
(……うーん)
もちろん、気になるといえば気になるけど、思い出せないものは仕方がないと割り切ってしまっている自分がいるし。
「それに、無理に思い出そうとしたら、頭痛くなるんだよね……体が拒否してんのかな」
私は軽い気持ちで言ったのだが、シカマルは真剣な顔をして頷いた。
「あのね、シカマル……私、違う世界から来たの……なんて言ったら驚くかもしれないけど」
「……あぁ」
大して驚いた様子も見せないシカマルに少しこっちがびっくりしながら、まだ誰にも言っていなかったことを思い切って言った。
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