04

家へ帰った後も、葵の反応は余所余所しかった。そりゃあ覚悟していたことだったが、結構辛い。なんとか下の名前で呼ばせることは成功したものの、まだまだ俺を警戒しているようだ。


そして何よりも、隣から聞こえる心を揺るがす葵の泣き声。


(……ごめんな)

声を堪えている様子からして、俺に気付かれたくないのだろう。誰にも頼れずに一人で必死に我慢している彼女を抱きしめたい衝動に駆られた。

「カカシ先生聞いて!イルカ先生に一楽のラーメンおごってもらった!」

「え、写輪眼ってそんなに負担かかるの!?もう、しょうがないなあ」

「そんなやらしー本ばっかり読んでないでよ、暇ー!」

「えへへ、ありがと!カカシ大好き!」





「……嘘つき」



これで、良かった、んだよな。
次々と思い返される声から逃げるように、ゆっくりと目を閉じた。

20110303


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