04

夜。
私は広いベッドに横になっていた。ちなみに横にはカカシさん。この状態になるまで、実はものすごい攻防戦があったんだけど、長くなるから省略。

(……寝れないなあ)

病院で長く寝てたから無理ないかも。だけどきっとそれだけが理由なんじゃない。

(不安……か)

さっき寝る前、カカシさんが言った言葉。

『不安だらけだと思うけど、俺達が絶対守ってやる。だから一人で無茶だけはしないように』

普通なら女の子として舞い上がるような台詞かもしれないけど……先が見えない私にとってはこれさえも気休めに過ぎない。
それに私はたいした力なんて持ってない、きっと。だから無茶なんてできっこないのに。


(みんな……元気かな)


たった一日(?)くらいしか離れてないのに、もう懐かしい私の世界。
向こうじゃ今頃大騒ぎかな。それにみんなはちゃんと目覚めたんだろうか。カカシさんの術だから多分大丈夫と思うけど、この人はなんだかまだ苦手で。


……帰りたい。

それが本音だ。

お母さん、また無理して体壊してないかな。お父さんも文句言いつつ仕事してる?の前に、私のこと今頃必死になって捜してるのかな。ごめんなさい、きっと見つかりません。結局いつに向こうの世界に帰れるのか、怖くて聞けなかった。

クラスのみんなは元気かな。親友のあの子にはきっと心配かけてる。あ、せっかくテスト勉強頑張ってたのに水の泡だ。大学行って小学校の先生の資格も取りたいのに。夏まではおもいっきりクラブもして。部長として最高のチームを作ってコンクールに出たかった。あ、ペット吹きたくなってきた。


「……っ」

ぽろぽろ、しょっぱい雫が止まらない。駄目、あんまり泣いたら起こしちゃう。でも止められないよ。
暖かいあの場所に、戻りたいのに


「…ひくっ……みんなに、逢いたい、……」


カカシさんとは逆の向きに体を向けて、声を殺して泣き続けた。


20110301


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