03
「嘘じゃない。現に私は、今お前のチャクラをわずかにだが感じ取ることが出来るからな」
「チャクラ……?」
「忍なら誰でも持っている、能力の源のようなものだ」
……話が難しくなってきた。
だけど、火影のこの人が言ってるってことは、本当なんだろうか。それなら私も何か術が使えるってこと?
「身体には異常がないみたいだから……葵、今日からカカシの家に住むと良い」
「……は?え、ちょっと待っ」
「悪いな、今里には余裕がない。それにそこが一番安全だからな。頼んだぞ、カカシ」
「はっ」
ちょ、あなたも何はっなんて了解しちゃってるんですか。
無理だってば、男の人と同棲するなんて……私にはまだ早い……!
「……お邪魔します」
結局来てしまった。(俺の家来るか知らない土地で野宿かどっちが良い?て脅された)
時刻はもうそろそろ夕方。向こうに居たときと時間は多少ズレてるような気はするが、きっと気にしたらきりがない。
「はい」
とりあえずちょっと落ち着いて、と置かれたコーヒー。反射的に口を付ける。
「……美味しい」
ぽつりと素直に感想を述べた私に、はたけカカシさんは微笑んだ。
この砂糖やミルクの量とか、まんま私の好みだ。本当に私は、昔この人達と……
「……っ」
「葵?」
「あ……大丈夫……」
頭がずきずきする。
「綱手様が言ってたよ。記憶を引っ張りだそうとすれば、少し障害が出るかもしれないって。だから、ね」
ぽん、と頭に手を置かれた。
「無理しないこと。いーね?」
「……あの、はたけカカシさん」
私がそう言うと彼はずっこけた。
「あのさ、なんでフルネーム?カカシで良いよ」
「……じゃあカカシさん」
「さん無しで良いのに」
「年上相手に呼び捨てなんて出来ません」
「……そう。で、どした?」
聞きたいことは山ほどあったけど、とりあえずはこれ。
「これから……私、どうするの?」
「そうだな……まずは里、ていうかこっちの生活に慣れること。それからは忍術も教える」
その言葉にコーヒーを変なところに流し込みそうになった。
「わ、私が?」
「そ。ま!お前ならすぐに出来る。思い出すようなものだからな」
私が思ってる不安とカカシさんのとは少し違う気がした。
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