01
「……ん」
目が覚めて、視界に入ってきたのは独特な白い天井。どうやら私は病院で寝ていたらしい。それにしてもどこの病院だろう。
(あれは……夢じゃない?いや、夢だと信じたい)
ぼんやりとした頭で考えていると、がちゃりと扉が開いた。今気付いたけど、個室だ。私そんなに重症だったかな。
「あ、目覚めた?」
「……!あなたは」
入ってきたのはあの銀髪の怪しげな男の人。片手に本を持ったまま近付いてくる。
その人の存在は、あの出来事の現実感を強調させるようで少し落ち込んだ。
「……何の用ですか。ていうかあなた誰ですか。まず此処はどこ…?」
「んー…何から話そうかな」
立て続けに聞くと、その人はまた困ったように、だけど少し哀しそうな表情をした…ような気がする。
「ま、結論から言うと……ここは火の国、木の葉隠れの里。
で、俺は木の葉の忍、はたけカカシね」
「………………」
名前しか分からなかった……
そんな私を見兼ねて、はたけカカシは言い直す。
「ここは、葵が居た世界じゃない」
……はい?
「冗談はそのマスクだけにしてください」
「いや、それ喧嘩売ってるでしょ……
ていうか、やっぱりこれは……きついなあ……」
それきり彼は黙ってしまう。何が彼を悲しませてしまったのかは分からないけど、初対面との沈黙ほど厳しいものはない。
どうしようどうしようと思っていたら、幸いなことに再びドアが開いた。
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