02

「じゃあテスト範囲は終わってるから、自習な」

日本史の授業だが、もうすることがないので各自自習ということになった。もう2年も終わり、このクラスで授業を受けるのもあとちょっとなんだけどな。

(んー、生物でもやるか)

ごそごそと問題集を取り出して解いているうちに、だんだんと睡魔が襲ってきた。最悪。昨日の夜ちょっと携帯触りすぎたかな。けど今回の範囲全然覚えてないし、やらないと……

意識が持っていかれそうになった、その瞬間だった。


ガシャン!!!


「!!?」

突然、窓ガラスが割れた。教室中が悲鳴でいっぱいになる。眠たかった意識は一気に覚醒した。

(何!?)

「な、何だ!?」

逆行でよく見えないけど、窓の所に人影が二つ見える。何やら大きな衣を着ている。赤い雲のような模様が見えた、その瞬間。

(……!!痛い……な、にこれ……)
突然頭が割れるように痛みだす。痛いなんてレベルじゃないそれ耐えられずに、私は椅子から落ちた。

「葵!?」

周りの友達の声も遠くにしか聞こえない。頭を両手で抱えたままやっとのことで少し目線を上げると、飛び込んできたのはさっきの黒い衣。

「……三木葵だな」

(……は?)

誰か全く知らない相手なのに、
どうして私の名前を知ってるの?


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