03
「っ……」
顔を歪めて苦しむ葵の姿を、ただ見ていることしか出来ない。
カカシさん、すまねぇ……
俺は、何も……………
「っはぁ!!はあ、はあ……はあ……」
意識が現実に戻ると、尋常ではないほどの汗が雨に流された。
何ヶ月もの時間を経験した気がする。だけど周りの様子はちっとも変わっていない。
「気分はどうだ」
「ぅ、あ……
イタチ……?」
「ああ」
はっと我に返り、二人が倒れていた方向を見遣る。
「……!!私……」
昔に戻った感覚。混乱に混乱が重なり、何をしたら良いのか分からない。
「思い出したのかよ……」
「うっ……シカ…キバ…」
ボロボロと流れ落ちる涙を拭おうともせず、自分の周りを眺めた。
「戻ってきてからの生活で、情が沸いたか?」
「!」
そのイタチの言葉に動揺する。だけど……
「私はっ……木の葉にはいられない」
思い出した。思い出した、全部。
私はここにいては、いけない。ううん、いられない。
(だけど……)
矛盾――する。
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