03
「私はっ……!!」
ぽろぽろと涙が頬を伝う。
「ただ、普通に生きていたいだけなのに……!!」
溢れ出る涙を必死で拭う。
しばらく誰も何も言わなかった。
「なあシカマル……なんで葵に過去の事を教えちゃならねえんだ?」
その声に、顔を上げる。
「!?
キバ、お前……カカシさんに言われたこと分かってんのか!?」
「分かってる……分かってるから余計に辛ぇんだ!!
俺はこれ以上、こんな葵を見ていられねぇよ!!」
ゆっくりとキバが近付いてきた。私は再び涙に濡れた顔を伏せる。
「キバ……」
「俺達だって、お前が大切なんだよ……!!」
「……」
ドスッ
「……か、は…!?」
がくっとキバが、その場にゆっくりと崩れ落ちた。
「……!!てめぇっ……!!!」
シカマルに、始めて敵意を剥き出しにした視線で睨みつけられる。それにずきんと胸が痛んだ。
「いい加減にしろ!馬鹿な事はよせ!」
「きゃっ……!?」
今まで黙っていたうちはイタチに、急に体を引っ張られた。それと同時に体が動かなくなる。
「!お前、影真似の術を……」
「邪魔だ……引っ込んでいろ」
「!シっ……」
名前を呼びそうになるのを必死に堪える。
シカマルがイタチの術により吹き飛ばされたことで、影真似の術は解けていた。
← →戻る