02
「まさかこんなに早く来るなんて……」
「おいお前!葵から離れろ!」
キバが赤丸に乗って突進してくる。この様子からして、どうやら私が無理矢理連れて来られたと勘違いしているようだ。
「無駄だ」
「うわっ……!!」
そこにいたうちはイタチは姿を消した。キバの攻撃はすり抜ける。
(幻術!?)
一瞬にしてキバの背後へ移動したイタチは、キバを突き飛ばした。
「うっ!?」
「おいキバ、考えもなしに突っ込むんじゃねぇ!!
とにかく今は葵をっ……「シカマル!!」
「無事か葵!?」
「無事も何も、彼女は自らの意思でここに来た」
再び私の横に戻ってきたイタチがそう話す。
「何言ってやがる……」
「本当のことなの!!」
「な!?」
「私はっ……過去の自分を!本当の事を知るためにここに来た……!
だから……邪魔しないで」
私の言葉を聞いて、二人の顔に動揺が走る。
「やめろ葵!何もそんなやつじゃなくても俺達が「じゃあ、どうして何も言ってくれないのよ!!」
「……!!」
ずっと気にかかっていたことが、本人達の前で爆発した。
「私だって馬鹿じゃないから!!何となく、みんなが私に隠してることがあるくらい分かる……だけど私は」
「聞け、葵!そいつは危険だ……いくらお前がそう思おうと」
「知り合ってたった一ヶ月や二ヶ月のみんなに、私の事は分からない!!!」
「……!」
それはうちはイタチだって同じ事だけど……少なくとも彼は、私に情報を与えてくれる。
酷なことを言っているのは承知済みだ。だって、本当は私たちはずっと前からの仲間なのだから。
二人の顔が苦しげに歪んだ。それに心が少し締め付けられたが、もう止まらない。
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