04
ひとしきり笑った後、イルカさんがふと真面目な顔をした。
「葵さん、確かに教師に向いてそうですね」
「え……?そ、そんなことないですよ」
「いやいや!お世辞じゃなく、見てたら分かりますよ。
生徒を大事にしそうだし、なんていうか見てたら分かるというか…
きっと良い先生になれます」
「イルカさん……」
ずっと我慢してたのに、目頭が熱くなった。
「ちょっと、この子泣かせないでくれる?」
「ああっそんなつもりじゃ……!!」
「ごめんなさ……嬉しくて」
「是非うちの先生になってくださいよ」
「考えときますね」
アカデミーの先生に、か……。
まさかこの里で、夢が叶う場所があるとは思わなかった。
もっとも、もう叶えようとは思わないけれど……。
それでも嬉しいものは嬉しい。
泣くのは我慢しようって思ってたけど、こんな嬉し泣きなら……たまには良いよね。
「じゃあそろそろ……帰ろうか?」
「うん」
時計を見ると、もう日が傾く時間。
私も、「限界」だ。
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