01
道も分からずに歩き続け、やっと家にたどり着いた頃には朝日が顔を出していた。
「……帰って、来れた」
いざここまで来たものの、門の前で少し躊躇する。
「葵……!!!!」
「あ……」
今任務帰りなのか、ちょうどカカシさんが帰って来た。
「お前その顔、どうした……!?今までどこに……それもずぶ濡れで」
「……っ!!」
体を門の中に引っ張り込まれた。
「誕生花は、姫百合。それに門に入れたのが証拠だ……中に入るぞ」
お互いひどい状態なので、順番にシャワーを浴び、今はテーブルを挟んで向かい合っていた。
「医療忍術……使わないのか?」
そう言われ、ゆっくりと掌をぶたれた頬に当てる。すると痛みと腫れは、すうっと引いていった。
「あ……良かった、使えた」
あれから時間が経ったからか、少しだが力が戻ったのだろう。
「使えたって、お前……」
眉を寄せるカカシさんを余所に、体のあちこちに出来た傷を治療する。
(カカシさん……本当に、)
私はどうすれば良い――?
「カカシさん」
「ん……?」
「お願い……
頼むから、何も聞かないで」
「!」
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