「……サスケ?」
半ば無意識に発せられた言葉。何で、どうしてこんなところにいるの。
サスケが里を抜けてから、もう長い時間が経った。私も今ではほやほやの上忍の身だ。比較的軽い任務の帰りに立ち寄った街中の外れで、まさか……
「名前、か……?」
サスケの方も半信半疑の様で、呆然と私を見ている。目の前にいるのが抜け忍で、決して見逃してはいけない人物だということも忘れ、足が凍り付いたように動かなかった。ここが人通りの少ない狭い道で助かった。
「……っ」
何か言いたいのに、上手く言葉が出て来ない。代わりに目の前が涙でぼやけてきた。駄目、泣いちゃ、私はそんな弱い女の子のつもりじゃないんだ。
「一人、?」
ようやく搾り出すようにして出た言葉がそれだった。
「あぁ……あとの二人は街にいる。それにしても」
「!」
壁に私を押し付け、まじまじと顔を見つめられる。動けない。サスケ、大人っぽくなった、
「綺麗に……なったな」
「っ……」
優しく私の頬を撫でてそう言うサスケのせいで、涙が堪えきれずに一筋流れ出す。それが引き金となり、あぁ止まらない
ぎゅっと強く私を抱きしめるサスケ。
「サスケ……」
「ん」
あのね、好き、好きだったの、違う、今でも好き、あなたもそうだったんでしょ
心の中で強く訴えた。
でもそれを口に出してはいけないんだ。私はもう大人だから。
「オレを捕まえないのか?」
「……今回は特別。次はないからね」
私がそう言うと、昔を思い出したのかサスケは少し笑っていた。
「サスケ!また私のせいで怪我したの!?」
「お前のこと守っただけだ。悪いかよ」
「……っまたそれ言う。もう次はないからね!今回は特別だから!」
「はっ……なんだそれ」
これだけ時間がたって、たくさんのものが無くなっちゃったけれど、変わらないものだってある。そうだよね、だからお願い。願わくばあの日のように、私はあなたと――
20111029
有栖様へ!
大変お待たせしました!
シリアス甘ということでしたが、なんだかただの切夢になったような気も…いかがでしたでしょうか><
たまにはサスケにも素になってほしい、気を許してほしいという私の願望です^^
ご参加ありがとうございました!
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