10.万華鏡


「……綺麗だね」
「あぁ」
二人してごろんと芝生の上に寝転がり、夜空を見上げる。

イタチが突然、星が見たいと言い出した。長年イタチと一緒にいる私からすると、彼がそんな我が儘(っていうほどでもないけど)を言うのは珍しい。ましてイタチはここのところ任務が忙しいから、出掛けるのだって久しぶりだ。だから、私は彼を連れて星がよく見えるこの丘に来たの。
今日は天気が良くて、星が降ってきそう。
「……」
最近、なんだかイタチが元気がないのには気が付いていた。サスケくんと喧嘩でもしたのかな。だけどそれにしては、イタチの瞳が寂しそうで。だけど私には何も言ってくれないんだね。幼なじみで、だけど彼は私の心の中では特別な存在だった。
「……名前」
「……ん?」
くしゃくしゃと頭を撫でられる。ずるい。こうされたら、私は何も言えなくなる。
(……どこにも、行かないで)
イタチがどこか遠くに行っちゃうような、そんな気がしてならないの。



((涙で滲んだ星空は、ゆらゆらと歪んでいて。まるで万華鏡みたいに))



20110610


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