09.キャンディ


「あのー、沖田くん。離れてほしいなあ……なんて」
「嫌でさあ」
一つ年下の沖田くん。彼とは、私がトシが話している時に出会った。そして何故か私の事を気に入ってしまったらしい。
今は放課後、私は日誌を書いていたのだけれど……沖田くんが後ろから私にべったりとくっついていて、離れてくれない。
黙って日誌を書く私は一件冷静に見える、のかもしれない。先輩として冷静を装っているから。だけど、学年、いや学校の中でも有数の王子様タイプの彼に抱き着かれたら、心臓がうるさい。
あ、そうだ。
「ほら、これあげるから」
「なんでぃ、これ」
私がポケットから出して沖田くんに手渡したのは、いちごミルクのキャンディ。
「良い子だから離れ……っひぁ!」
突然耳にふっと息を吹き掛けられ、変な声が出てしまう。
「子供じゃないんでさぁ。なんなら証拠、見せやしょうか?」
見ると、なんだか意地悪そうな笑顔の彼。



((彼の顔が近付いてくるのは、あと数秒後の話))



20110610

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