シカマル学パロ | ナノ


「うわー、もう全部べちょべちょ……最悪」

肩の辺りまで伸びた髪を軽くしぼり、持っていたタオルで水分を拭き取る。問題は服だ。スカートは濡れてもそこまで目立つ色では、ない。しかし白いカッターシャツ。下着が透けている。やだなあ。

さっきの女子は違うクラスの子ばかりだったから、顔は合わせなくて済む。

なんとか服が肌に張り付かないように、前に引っ張り出しタオルを首にかける。うん、隠れた。ていうか今冬だったら完璧風邪ひいてた。

「……教室行きたくない。帰りたい」

授業が面倒臭いなんて、腐るほど思ってきたけど、ここまで教室に行くのが嫌と思ったのは初めてだ。私はこの日初めて、いじめられている女子の気分になった。だけど休んだらあいつらの思う壷だ。









「遅れてすみません」

ちょうど今の時間は数学だったようで、怠そうにこっちを見たカカシ先生の目が点になった。クラスメートも同じく。

「お前……珍しく遅刻したと思ったら、何してたの」
「水溜まりでこけました」
「いや、笑えないから」

当たり前だ、今日は雲一つない青空が広がっているのだから。最低限乾かしてきたつもりだったけど、席についている生徒と比べれば、その差は一目瞭然である。

授業が終わり、ああ質問責めにあうのだろうなあと思い机に突っ伏した。すると後ろからバサっと何かが置かれた。ジャージ?

「……キ、バ」
「まだ濡れてんぞ……大丈夫か?」
「……うん」

不覚にも、キバの優しさに何かが崩れてしまいそう。私はこんなに弱い女じゃないはずなのに。

「おい」
「シカマル……」

何日ぶりかに言葉を交わした。だけど彼の目を一瞬見て、すぐに反らしてしまった。

「ごめん……今日は話し掛けないで」

今日は、て矛盾してる言葉かも。そう思ったけど、シカマルは何か感じ取ったのか何も言って来なかった。その気遣いがとても有り難かった。



20111002



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