シカマル学パロ | ナノ
結局なんやかんやで迎えてしまいました、体育祭。私たちが所属する青団は、なかなか運動神経が良い人が集まっているのか、4色中の1位をキープしている。
「由利」
「ん?」
日焼け止めを塗り直している時に、シカマルに呼び止められた。
「お前借り物競争の時、審判入ってるか?」
「ううん。あとは棒引きだけ」
「じゃあ見える位置にいろよ。なんかあったら借りるわ」
言いたいことだけ言ってさっさと歩いて行くシカマル。
「借りるわ、て……」
シカマルらしい台詞に、思わず苦笑した。
「あっついなぁ……」
まだ5月だってのに、こんなに暑くて良いのか。夏になったら溶けてしまいそう。
「由利、白いなぁー、だいぶ焼けそうね」
そういうサクラだって色白だと思うんだけど。
「運動してないからなあ。……あ、借り物競争の時あっちで見て良い?」
「良いわよ、けどどうして?」
「やーそれがさ、シカマルに何かあったら借りるとか言われて」
「もしかしてぇー、シカマルってば由利に気があるんじゃないの?」
「そんなわけ……」
「私もいのに同感!わざわざ由利だけに頼むだなんて……」
サクラといのがきゃいきゃいとはしゃぐ中、それはないだろうと一人冷静に考えていた。
「位置について、よーい、」
パーン!と大きな音が響き渡って、借り物競争が始まった。
「ポニーテールの女の子ー!」
「腕を捲ってる人!」
様々な声が飛び交う中、時々観衆から連れ出されて行く生徒がちらほら。
「あ、シカマルいた。なんか考えてるみたいだけど」
「ほんとだ」
分かりにくいお題でも出たのかな。少し経ってから、シカマルがキョロキョロと誰かを探している。
「由利!」
「え。っとっ!」
シカマルが名前を呼んだかと思えば、サクラといのに背中を押された。そんな私に気付き、シカマルが走って来て手を引かれた。二人並んでゴールする。
「ほんとに借りるとはね……なんて書いてあったの?」
「あー………あれだ、1番仲の良い異性の友達だとよ」
正面切ってそう言われ、なんだか照れ臭くなった。
「……何してんだ俺は」
“今気になっている異性”
そう書かれた紙を、無造作にポケットに突っ込んでおいた。
20110712
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