02
「お前は何故来なかった!?」
何の話をしているのかは私にもサスケにも全く分からない。ただその雰囲気があまりに悪く、ぎゅっと自分の掌を握りしめた。なんだかイタチも怒っているような気がする。普段の優しい態度からは考えられない。
「――昨夜、身投げ自殺をした……うちはシスイについてだ」
(!)
しばらく後に聞こえてきた単語に、体がびくっと震えた。シスイさんって、確かイタチが仲が良いっていう……身投げなんて……。
「そうですか。最近は全く会ってなかったが…残念です」
(イタチ……)
しばらく男たちとイタチの会話を聞いていて、少し変だと思った。やたらと男たちがイタチに敵意を剥き出しにしている気がする。
「見た目や思い込みだけで、人を判断しない方が良いですよ」
(なんか、怖い)
さっきから独り言のように、何やら呟きながらちらちらイタチを見る男たち。分からないけど、変な雰囲気だ。
「もっと直接的に言ったらどうです?」
「!」
思わず私とサスケは息を呑んだ。なぜなら、男たちの眼が真っ赤に光っていたから。
「俺を疑ってるわけか?」
「あぁそうだ…クソガキ」
「一族を裏切るような真似をしてみろ…タダじゃすまさ――ぐぁ!?」
(イタチ!?)
思わず体が震えた。イタチが一瞬のうちに三人の男たちを倒していた。
「さっきも言ったはずだ。見た目や思い込みだけで、人を判断しない方が良い」
「兄さん…!行くぞ、葵!」
私の手を引っ張って飛び出すサスケと一緒に走る。
訳が分からない。一族を裏切る……?イタチはあんなにも優しくて、思いやりがあるのに。あの男たちは何を言っているの?
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