01
「やっと……!やっと走りながら手裏剣命中させられるようになったよ!」
「頑張ったな、葵」
「そんなのとっくの昔から出来るぞ!」
「うるさいサスケ!」
イタチと出会ったあの日から、約6年ほどの月日が経った。私は火影様だけでなく、イタチにも忍術を教わっていた。教えてもらうだけでなく、イタチの弟のサスケも交えて一緒にご飯を食べたり遊んだり。それまでの私の生活から考えてみればまるで天国のようだった。
「イタチー、今日は一緒にご飯食べられる?」
「おい葵、兄さんから離れろ!!」
ぽすっとイタチの背中に抱きついてえへへ、と笑いながら言うと、サスケが怒って私を引き剥がそうとする。イタチの背中ってば広くて落ち着くんだよねぇ。これもいつもの風景だ。
するとその時だった。
「イタチ!!話がある!!」
「!」
突然玄関の方から荒々しい声が聞こえた。私とサスケはびくっとしながら声がした方を見つめる。
「すまない…今日は一緒には食べられない」
「イタチ、大丈夫……?」
「あぁ……」
こっそりサスケと一緒にイタチの後を追い、身を隠しながら耳を澄ました。
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