01

あれから数日後、任務のない日を選んで彼はやって来た。

「よいしょ、と。いやー葵の家はでかくて助かったよ。部屋余ってるんでしょ?あ、これは写真立てね、寝床に置いとくやつ。これが着替えで、」
「……」

本当に、カカシ先生は荷物を持ってやって来ました。同じ木の葉に住む人間なのに、引っ越す意味は果してあるのか。



「無理無理無理無理無理!」
「ちょ、そんなに拒否されるとさすがに傷つくんだけど」
「だ……だって!」

一緒に住むって……確かに火影様が用意してくださった私の家は多いけど。けどね!
年頃の男女二人(しかも相手は10ほど上ときた)が一つ屋根の下で生活、それになにより私はカカシ先生のことが―――

「(絶対……平常心保てない……!!)」

どうしよう……!

「あのね葵、よく聞いて。お前一人でいると危ないの、今までは平気だったかもしれないけど、昔よりチャクラの量が増して実力もついてきた今……余計に狙われるよ」
「えっ……どうして?」
「どこのどいつが、お前の力を狙っているのかはっきりしていないが……お前が成長して、強い力を持っている時を向こうも狙って来ると考えるのが妥当でしょ」
「……」
「ま!家まで来ることはそんなにないと思うんだけどね」
「だったら「だーめ」

(何でぇ!?)

そんなこんなで私に拒否権もなく、今に至る。……私、大丈夫かな。

「可愛い生徒のためなんだから、ね」
「(……ずきん)」

あ、今ちょっと傷ついた。
可愛い生徒、か。そっか、……そうだよね、そうに決まってる。
ソファに体を沈め、なんとなく落ち込む。

「飲む?」
「あ…りがとう、ございます」
「はは、何で今更敬語」

いつの間にかキッチンを使い、コーヒーを淹れていたらしい。馴染みすぎだ。
温かいそれに口を付ける。


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