04

「聞こ、える?陽蓮」
『駄目だっ……葵、そこから今すぐ立ち去れ……!』
「それは出来ない。お願い、力を貸してほし『良いから……!九尾がすぐ近くにいるだろう!?』
「九尾……?」
『俺の力は九尾に呼応するっ……くっ……』
「何!?九尾って何なの!?」
『その金髪頭の小僧の中にいる、化け物だ……』
「……!!」

ゾクッ

「何、この感じ……」

頭がくらくらする。そして禍々しいチャクラを感じる。一体誰の……!?
次に、信じられない光景を目にした。

「サ……スケ?」

体中傷だらけで倒れているサスケ、それに恐ろしいチャクラの中で立っているのは……ナルト?

「ぅあ……!」

頭を支配するのは憎しみ、憎悪の気持ちのみ。

そこから先の記憶がない。


気付いたら、目の前の白は消えていて。辺りは真っ赤な血の海。隣に立つナルトは呆然と私のことを見ていた。

「ナ、ルト……?」
「葵……大丈夫、なのか?その血……」

そう言われて自分の体を見つめる。なるほど夥しい量の出血だ。そこに自分の掌を宛がう。ぽ……と光が出て、みるみるうちに傷が治癒されていった。

「そうだ!サスケ……!!」

サスケの元へと駆け寄り、さっきと同じように手を翳す。

(あの時みたいだ)

思い出したくないけど、思い出してしまう。こんな状況では考えずにはいられない、あの夜のこと。

(あ……まただ)

心が、弱い。すぐにこんな考え方して……だからチャクラが足りなくなるんだ。もっと、何かプラスの事を考えなきゃ……!チャクラが、足り、な……







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