05

「……んぅ」
「起きた?」
「あ……」

ゆっくりと視界が開けた。ちゅんちゅん、と小鳥のさえずりが聞こえる。どうやら今はまだ早朝みたいだ、みんなが起きだすには時間がある。
ぼんやりとまだ醒めない頭で、目の前に居るカカシ先生を見つめる。

「……!ご、ごめんなさい!!私ってばずっと……!」

先生は壁に背中をついた状態で、寒くならないように私をずっと抱きしめてくれていたらしい。すごい迷惑かけてしまった。先生眠れたのかなぁ……。

「葵温かかったし、全然平気だーよ」
「けどっ……絶対体とか「も、平気だからさ。それよりよく眠れた?」
「すみません……。
すごく……気持ちよかった」

すごく良い夢を見た気がする。どんな内容だったっけ……?

「カカシ先生」
「ん?」
「良い夢見て、すごく幸せ」
「そっか……良かったな」
「うん」

頭をよしよしと撫でられて、頬が緩んだ。
その手が離れて欲しくない、そう願ってしまった。

「じゃあ、一旦部屋に戻ろっか。こんなところ見られたら、サクラ辺りがうるさそうだし」
「……ん。本当に、ありがとう」
「どういたしまして」

にっこりと優しく微笑んで、そう答えてくれた。

その笑顔を見たときに、心臓がとくんと音を立てる。
分かったよ、私分かった。

「じゃあ、また後で」

すごく、すごく……大切な人が、出来ました。

もちろん大切な人はたくさんいる。

だけど、何か……ちょっと違う。何かが違うの。
大切な人の中でも、ちょっと特別な人。

だから、こんなにも心が温かいんだ。



多分、出会った瞬間から惹かれていたんだと思う。
それは、理屈なんかじゃなくて。どうしてかは自分でもあんまりよく分からない。言葉じゃ上手く伝えられない。
でも、この人だ……って、心が訴えかけている。

(カカシ先生が、好き)

心の内でそっとそう呟くと、一瞬で頬に熱が集まり、胸の鼓動が速くなるのを感じた。



20110816


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