02

しばらく黙っていたカカシ先生が口を開いた。

「何をそんなに焦っている?」
「!」
「この間の再不斬との戦いからずっと、何かに焦っているだろう」
「だってっ……こんなところで、負けていられないのに……!」

誰より彼は強いから。誰にも負けないくらいにならないと意味がないのに。
すると、両肩に手を置かれてびくっとする。

「……少しは肩の力を抜け。強くありたいと思うのは、素晴らしいことだよ。けどね……お前、思いつめすぎ。ついでに言うと、何かに縛られているような気がしてならない」
「……!!!!」

縛られて……?

真っ直ぐに直視されて、写輪眼でもないのに目を合わせられない。

「いいか……目標を持って、それに突き進むことに反対はしない。だが、……今の我を忘れるな。自分の周りをよく見てみろ」
「周り……」
「あぁ、そうだ……今一番自分が大切にしたいことは何だ?それを忘れるな」

今大切、な物。
今目の前にいるカカシ先生、7班のナルト、サスケ、サクラ、それに私に術を教えてくれた火影様。
それに、



うちはイタチ



だけど冷静になって考えたら、本当にイタチが迎えに来る確証はあるのだろうか?
あの時、ただ単に私に言い聞かせるためだけに言っていたのだとしたら?
もちろん、そんなはずはないと信じたいし、今でも信じてる。でも、イタチが何処へ行ってしまったのか分からない以上、確信は持てない。

……あぁ、混乱してきた
ずっとそれだけを信じて今日まで生きてきた、イタチを疑うなんて初めてだ。

「っ……カカシ、せんせ……」
「ん」

耐え切れなくなって零れた涙。それを止めるようにとん、とカカシ先生に引き寄せられる。涙を流し続ける私をただただ抱きしめてくれた。ぽんぽん、と優しく背中を叩いてくれる。

「私……」
「もう、良いんじゃないか?」
「ひくっ……え、……?」
「そろそろ、解放されても良いと思うんだけど」
「え……」


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