01

「……で?いつまで隠れてるのかなぁ?……葵」
「!いつから……」
「最初からね」

ずっと気配を消していたつもりだったのに、カカシ先生にはお見通しだったらしい。おずおずと姿を出し、先生の隣に腰掛けて月を見上げた。

「……ナルトの話、全然知らなかった」
「だろうね」
「それにカカシ先生、やっぱり昔の私の事知ってるんだね」
「ま、ね」
「……」

ぎゅうっと膝を抱え込んで俯く。私自身、知らない過去。
何があったのか、聞いちゃいけないのかな。……なんだか駄目な気がする。だってそれなら、カカシ先生は私に教えてくれるだろうから。
聞きたい。だけど聞くのも怖い。

「カカシ先生、さっき……目的って言ってたけど……」

心臓がばくばく音を立てる。

「知らないよ」
「!そっか……」

質問をする前に先生がそう答えたので、少しだけ肩の力が解れた。

「けどその様子じゃ、人に言えないような事なのは確かだな」
「……っ」

言い返すことも出来ず、ただ唇を噛みしめた。

「最近、姿見せない時はずっと修行してたんでしょ」
「あっ……う、ん」

別に隠していたわけではないけど、言っていなかった。まあ、この人なら気付いていても仕方がないか。

「カカシ先生、私の事……実戦慣れしてるなって思ったでしょ?」
「……ま、そりゃな。戦い方を見れば分かる」

掌をじっと見つめる。

「何なのかな……どうして私の力は狙われるんだろう。何に使われるのかな」
「葵……」

火影様も、そこまでは教えてくれていないし。もっともっと強くなりたいのに、力を狙われちゃあ溜まったもんじゃない。そして何より、一体誰が……?

「このままじゃ駄目なのに」
「……」
「もっと、強くなりたいよ……!」

いつかイタチに会うまでに、もっと……今よりずっとずっと……!


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