04
大きな首斬り包丁を持っているその男。こいつはとんでもなく強い、直感がそう告げていた。
「下がってろお前ら。こいつはさっきの奴らとはケタが違う」
はたしてカカシ先生はそう言い、額当てをずらす。そういえば先生が額当てをずらすのは初めて見た。
(え……!?)
「このままじゃあ……ちときついか……」
ゆっくりと片目を開けた先生を見て、ドキッとする。だって、そこには真っ赤に光る、写輪眼が――彼と同じ瞳があったから。
(どうして?何でうちは一族じゃない先生が……?)
「お前ら、卍の陣だ!タズナさんを守れ。お前達は戦いには加わるな。それが、ここでのチームワークだ……」
その声に我に返る。そうだ、今はそんなこと悠長にしてはいられない。考えるのはまた後だ。
私たちはタズナさんを守るように彼の前に立つ。だけど……
(見てるだけなんて絶対やってらんない!)
「――忍法 霧隠れの術――」
霧が濃すぎて周りの様子が分からない。注意深く辺りを見渡していると、何処からか声が響いた。
「八か所――喉頭・脊柱・肺・肝臓・頸動脈に鎖骨下動脈、腎臓・心臓…。さて、どの急所が良い…?」
(どこもお断りだっての!)
辺りの雰囲気は尋常じゃない。確かに普通の感覚からしたらかなり怖いだろう、だけど私は大丈夫……もっと怖いものを知っているから。
サスケが汗をかいて震えている。大丈夫、私が絶対に――
「――安心しろ」
「!」
「お前達は、俺が死んでも守ってやる。俺の仲間は絶対、殺させやしなーいよ!」
こんな時だけど、その言葉に涙が出そうになった。こんな言葉を掛けてもらったの、生まれて初めてかもしれない――
温い考えに浸っていられるのも一瞬で、またあの声が響く。
「それはどうかな……?」
「こっち!」
私はタズナさんを押し退け、掌にチャクラを込めた。すると眩い光が飛び出し、辺りの霧が少し晴れる。
その隙にカカシ先生が現れ、再不斬の腹にクナイを刺した。だけどそこからは水が流れ出た。
(分身の術!?)
そしてカカシ先生の後ろに再不斬が現れる。先生を首斬り包丁で斬ったかと思ったが――それもまた分身だった。
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