01
「カカシせーんせ!昨日ね、イルカ先生に一楽のラーメンおごってもらった!ナルトも一緒にね」
「おー、良かったな」
思いがけずCランク任務で波の国へと向かう途中、カカシ先生に話し掛ける。
あの日以来、カカシ先生は時々私の家でご飯を食べて行ってくれる。一人の私の事を気遣ってくれているのかな、と少し申し訳ない気持ちになったが、それ以上に嬉しかった。
「知り合いが増えたな」
「!」
(また、だ)
頭をぽんぽんと撫でられ、顔を覗き込まれる。そのカカシ先生の笑顔に胸がとくんと音を立てた。最近よくこうなる。
(どうしちゃったんだろう、私)
恥ずかしさで赤くなった顔を隠すように下を向いた。
「なんか最近、葵とカカシ先生仲良いってばよ!」
「!」
そのナルトの一言で、サクラにサスケ、タズナさんまでがこっちを振り向いた。
「ほうほう……」
「ナルト、そこは突っ込んじゃ駄目よ〜」
ちらりと隣のカカシ先生を見ると、別に焦った様子もなく余裕の顔。なんかむかつく。
サスケは、複雑そうな顔をして私を見ていた。
(あぁ、そっか……)
私、事あるごとにイタチに引っ付いてたからなぁ。……て、それはだいぶ昔のことなんだけど。イタチは優しくて、一緒にいるとすごく安心した。
「……っと!」
そんな事を考えて歩いていると、水溜まりにはまりそうになった。
「……何してんの、葵」
呆れ顔のカカシ先生に腕を引かれる。
(変だな)
こんな晴れた日に、水溜まりなんて絶対おかしいから。何か、ある。
「……」
カカシ先生も同じことが気になっていたようで。二人で顔を見合わせた、次の瞬間だった。
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