04

「んー……」
「風邪ひくぞー、こんなところで寝ると」

今俺は、リビングのソファーに座り込んだまま眠ろうとする彼女を、寝室に連れて行くため必死だった。
仕方なく、ほとんど意識のない彼女の体を抱き抱えて2階へ連れていく。
ベッドにそっと寝かせると、気持ちよさそうに枕に抱き着いていた。

「まったく……無防備なんだから」

大人なのか、子どもなのか。
彼女に振り回されている自分にため息をつく。どうも調子がおかしい。こういった感情は、持たないと決めているのだが。

小さくため息をつき、俺も彼女の隣に横になった。あ、これ紅あたりに見られたら殺されるな。


広い家だ。こんな家に、一人で。


ちらりと彼女の顔を見る。伏せられた長い睫毛に、柔らかそうな頬。

(……いかんいかん。この子は俺の生徒、俺は先生)

もう帰らないと。明日から任務が始まる。
立ち上がり、最後に少し茶色がかった彼女の柔らかい髪にそっと指を通す。


「……ん、待って」

ベッドから離れようとした時、その声がして足を止める。




「行かな、で……



イタ、チ……」



20110721


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