03

葵がバスタオルで髪を拭きながら出てくる。
湿った髪からぽたぽたと落ちる水滴に、普段よりも紅潮している頬。

思わず二度見してしまった。

「……ん?それ…何の本?」

「うぉっと!葵はまだ見ちゃだーめ」

机の上に置いていたイチャパラに葵が目をつけた。駄目だ、まだ葵には早……くもないか。確かもう18くらいなはずだから。いや、駄目だ。彼女は表紙に書かれた18の数字には気付かなかったらしい。

「そういや、サバイバル演習の時に出してたような。……て
「あーもう気にしないで。それより葵」

ふわっと後ろから抱き締める。あ、シャンプーの良い香りがする。葵の匂いだ。……俺は変態か。

「っ!!??な、ななな……」
「(ななな?)駄目でしょ、簡単に男を家に上げちゃ。俺じゃなかったら何するか分かんないでしょ?」
「っ……だ、だって」
「ごめーんね。意地悪しすぎた」

そう言ってぽんぽんと頭を撫でてやると、葵は顔を真っ赤にしてしまった。
あーもう、そんな顔しないの。






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