02
「ん、美味しかった」
「良かった……!」
誰かと一緒にご飯を食べるなんて、一体いつぶりだろう。やっぱり一人で食べるよりも断然美味しい。
「……て、あれ!?早過ぎ!!」
いつマスクを取ったのか、一瞬で食べ終わってしまったらしい。本当に味わって食べたの?
「いつの間に……」
「忍だからね」
うーん、なんか違う気がするけど。それより、
「カカシ先生の素顔見たかったなぁー」
「だーめ」
なんでだろう……何か秘密でもあるのかな。
「ほら、風呂入るんでしょ?行った行った」
「……はーい」
前以て沸かしておいたお風呂に入る。て、なんだかカカシ先生、保護者みたいだ。
「……にしても美味かったな」
九尾の事件と同時に起きたあの事件の後、彼女がどうなったかは知らないが――一人で暮らしていたんだな。どうりでやけに大人びていると思った。
(なんとなく、まだ「何か」ある気がするんだよな)
一人を必要以上に恐れる彼女の姿が引っ掛かった。
まぁ、焦らなくともこれから知っていけば良い。
「……皿でも洗っておくか」
きっと葵は、誰かの温もりが欲しいのだろう――その力故にアカデミーにも行かず、一人で努力してきた彼女。
「葵ー」
風呂から上がっておそらく洗面所にいるであろう彼女の名を呼ぶ。
「んー?」
「皿なんだけど、これは」
「え、いいよそんなの」
「駄目でしょ。ごちそうになったんだから」
← →戻る