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「ほんとにいーの?ごちそうになっちゃって」
「ん、ここまで来てもらったから」
結局あの後カカシ先生に家まで送ってもらい、晩御飯も一緒に食べて行ってもらうことにした。
「先生好きな料理ある?」
「さんまの塩焼きとか、茄子の味噌汁かな」
「すごい具体的」
先生の答えに笑いながら、冷蔵庫の中身を確認する。
「んー、この感じだとカレーみたいなのしか出来ないかも……それでも良い?また今度さんま買ってくるから!」
「もちろん。てか今の葵、主婦みたいで笑える」
「えー!?」
失礼な、と笑いながら言うと、カカシ先生が動きを止めた。
「……?」
「いや、初めて笑ったなーと思って」
「!」
確かに、誰かとこんな風に自然に笑うのは久しぶりだったかもしれない。一人が普通だったから。
「……ずっと一人で料理してきたから、慣れてるの」
「……」
「覚えたくて覚えたんじゃなくて、自分でやるしかなかったから……て、こんなこと言っちゃご飯がまずくなるよね」
ごめんごめん、と言って私は口を閉じた。
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