▽ 憎たらしいくらいに
「あれ? ここどこ? ねえ、幻影、私たち妖精の森に居たんだよね?」
目を開けると先ほどの雪景色は何処にも見当たらなかった。周囲の風景は流行りの作りでできた建物に変わっている。灰色味がかかった暗い世界に澄んだ空はどこか非現実的で寂しい。あまりにも静かで人の気配がしない。
「ようこそ。おれ゛の世界へ」
背後からの声で飛び退く。ルクリシアは鉈を振り下ろしていた。あのままあそこにいたら今ごろ頭をかち割られて即死だ。
ふとルクリシアの隣を見ると異質なもの、服を着た人骨が自立している。なんだあれは。あいつの能力か?
「ここはどこなの! 君が連れてきたの!?」
「言っだ通りだ。ここはおれの世界。おれが現実を元に創りだしだ世界だ」
やはり別世界か。さっき影が広がったときに連れてかれたのか。だが……
「ここまでして何が目的だ?」
「光に゛おれの願いを叶えでもらう。お前だち王に接触すれば光に会えるど思っだ」
光。この世界には願いを叶える光が存在する。どんな願いも叶うとされ、歴史を大きく動かした出来事の大半はこの光を求めて起きている。俺たち王はその光が悪用されないように、負の感情の塊である悪魔に狙われないように、あらゆるものから守るために存在している。
「なるほどな。けど残念だったな。願いを叶える光はここにはないぞ」
ルクリシアは俺の言葉を聞いて、口元を歪め笑った。
「あははは……何も知らない゛んだな。創造の王が聞いで呆れる」
「あ?」
「光はここにあるじゃないか」
奴の言葉に胸がもやつく。知らない? ここにある? 何を言っているんだ。願いを叶える光は城にある。俺は王になった就任式の時に直接見た。ハートの形をした白と黒の眩い光、それが願いを叶える光だ。城の中庭に鎮座して、普段は反転が守っている。それなのにこいつはここにあると言う。
「どういう意味だ」
「これ以上、お前に言う義理はない゛。お前はこいつらの相手でもしでいろ」
「!」
「幻影!」
何処からか現れた亡者に囲まれ、憂と分断されていく。統率のとれた亡者の波に流されあっという間に街の奥へと来てしまった。入り組んだ街の奥、元の場所も方向もわからなくなる場所で、俺を囲んだ亡者達は武器を構え、襲い掛かる。
「チッ! 面倒なことしやがって!」
prev /
next