化け物に襲われるなんてありえないんだが?




私は🌸。
体は3歳だけど、頭脳は大人!な転生者である。

そんな気が付いたら何故か小さな赤ちゃんに生まれ変わり何とか子供のフリをしつつ生活していたんだけど。

まさかの生まれ変わった先は魔法が普通に存在する世界っていうね。

お母さんもお父さんも普通に魔法使うし、お母さんが使う香水にも気分が落ち着く魔法だとか、色んな魔法がかかっているらしい。

私はまだ小さいから学校には通えてないから魔法はまださっぱり。

先ずは文字を読む事が先なので、日々文字の書き方とかを絵本を見つつ覚えている所だ。

魔法なんてワクワクする世界に転生出来て嬉しい!

前の世界に未練がないなんて言ったら嘘にはなるけど、今はだんだん吹っ切れたので平気だ。

今の家族も私を大切にしてくれてるしね。



そんな3歳児なりの生活を送っていたのだが、家の周りを探検しようと少し家から抜け出したのは良いけど。

何故か髪の毛が異様に長いお化けのような者に襲われて、死ぬかと思った。

咄嗟に誰か助けて!!って願ったら、何故か目の前に1人の着物を着た男が立っていたから不思議である。




「…?急に視界が変わったと思えば、ここは?」

キョロキョロと辺りを見渡すその男をよく見ると、白い白銀の髪に、片目は覆われて見えない。

背丈は高く組紐のような物を手に巻いていた。

化け物は急に現れた男に、ターゲットを変えたようで襲いかかるが男は下駄を履いているのにヒョイと身軽そうにその攻撃を躱す。

「急になんじゃ?儂はやり合う気などない」

「ぅうう!!」

男に避けられたのが不満なのか化け物ら唸り声をあげて、長い髪の毛を振り乱しその髪で拘束しようするが、それさえも男はバックステップで躱し足から下駄を飛ばすとその髪は下駄で切られて地面へとパサりと落ちた。

下駄は弧を描き男の足へと収まると男が着地する。

「お嬢ちゃん、ここは危ないから離れた方がよいぞ」

「は、はい」

男に促されて私はその場を離れようとするが、化け物が弱いからか私にターゲットを変えてまた髪の毛を伸ばして襲いかかる。

足が動かず逃げれない私に、男は私を小脇に抱えるとヒョイと軽々飛び上がり、離れた場所に下ろしてくれた。

「あ、ありがとうございます」

「礼などよい、彼奴もしつこいのう。仕方ない」

男は化け物に向き合うと、化け物に向かって走り出し髪の毛をまたもや下駄で蹴散らし本体を蹴りあげた。

化け物が宙に浮かび上がり、男もジャンプして飛び上がると地面へと化け物を叩き落とした。

化け物は、苦しそうな声を上げてサァーと元からいなかったかのように消えてしまった。

化け物が居た場所にはコロンと黒い結晶だけが残っていた。

「…さてここからどう帰ったものか」

「ぁ、あのたすけてくださりありがとうございます」

「何、別によいよい。それよかお嬢ちゃんはここがどこか分かるかい?」

「ここは、わたしのおうちのちかくで…。たんけんしようとしてたらおそわれて…」

「ふむ、そうじゃったか。お嬢ちゃんのように、儂らの様な者が見える者は狙われやすい。狙われた時はすぐに逃げる事じゃな。それか力をつける事じゃ。何かお主からは不思議な力を感じるからまた会えるような気がするのう」

「ちからをつける…」

「そうじゃ。襲われたとしてもそれを対処出来る力があれば助かるからのう」

そう言って私の頭をクシャりと撫でてくれた顔は穏やかそうに見えて、私はやっと緊張して強ばっていた体の力が抜けた。

「わたしがんばります!」

「頑張るんじゃぞ」

「はい!ありがとうおにいさん」

「お嬢ちゃんはしっかり小さいのにしっかりしとるのう。儂はそろそろ元の場所に帰らねばならん」

「っ…」

急にガクッと体の力が抜けて膝をつくと、お兄さんは慌てて私を支えてくれた。

「急に力が抜けた様じゃが大丈夫か?」

「…はい、だいじょうぶです」

この感覚は凄い倦怠感があり。
体の力が抜けて立っていられない。
お兄さんに何とか返事を返したものの私の意識は途絶えてその場に倒れ込んでしまった。

お兄さんは、私を助けようとしてくれたようだがその場から姿が消えてしまっていた事に気付かなかった。

私は意識を取り戻し両親に心配されて、助けてもらったお兄さんの容姿を説明したが村にはその様な人は見つからず夢でも見たんじゃ?と段々自分も夢だったんじゃ?と思うようになっていた。





+++++++





あれから2年が過ぎ私は5歳の誕生日を迎えた。

変な化け物に会うことも無かったのに、友達と隠れんぼをしている途中。

急に友達以外の化け物が現れて友達の後ろからペタペタと後ろを歩いては隠れんぼをする姿を隠れた遊具の裏から見てしまった。

なんてこった。


「あ、リリィちゃんみーつけた!」

『ミーツケタ』

「見つかっちゃった!」

化け物の存在に気が付かない2人は和やかに会話をして、他の子を探し始めている。

化け物は異様に顔が大きく、ギョロギョロとした目が顔中にあり色んな方向をぎギョロギョロと見る姿は背筋が凍った。

私は見つからないように、近づく2人と化け物からこっそり距離をとろうとすると運悪く足元に落ちていた木の枝を踏みパキりと音を立ててしまい見つかってしまった。

「「🌸ちゃんみーつけた!」」

「…ぁ」

2人はひょこっと私を見つけて嬉しそうに声を上げるが、私の視線は2人の背後にいる化け物につい向けてしまい、化け物の沢山の目が私を見つめるとニィと口が裂けて嬉しそうに笑っていた。

『ミツケタァ』

化け物はニタニタと笑いながら友達を追い越し私の目の前にやって来ると手を伸ばすので、私はうち触られないように走り出した。

とにかく化け物から距離を取らないと!!

「🌸ちゃん!?どうしたのー??」

友達が私を呼ぶ声が聞こえ、私は走りながら答えた。

「ごめん!用事があったの思い出しから帰るね!!」

「そっか!ならまた明日ねぇー!!」

「ばいばーい!」

友達の声を背中越しに聴きながら走る。
後ろからペタペタと私を追いかける足音が着いてくる。

化け物は見えている私だけを狙っているから、皆から離れないと。

他の人に助けを求めたとしても、見えない者から助けてもらうことは無理だから。

撒いて家まで帰れたら良いんだけど。

そんな簡単にはいかないか。


そんな時、道を間違って行き止まりの通路に入ってしまったようで、逃げ道がなくなってしまった。

こうなったら習った魔法で何とかするしかない!


「えい!!!」


手の平から炎をイメージして魔力を込めて化け物に飛ばすが、化け物は笑みを浮かべながら当たってもビクともせず近づいてくる。


他の魔法も試すが効果がなく、どんどん縮まる距離に焦ってしまい魔法を出せなくなってしまった。

魔法とかイメージが力になる。

その為焦ってイメージが上手くいかないと、成功しないのだ。


そういえば、3歳の時もこんな事があったな。

お兄さんとは一切会わなかったから、夢かと思ってたけど。

あれは夢じゃなかったのか…。

また会えたら良かったな。
頑張って力をつける約束もしてたのにな。


化け物がついに目の前まで来て、怯える私の顔に目線を合わせるようにニタニタ笑う。

怖がる私を見て笑ってるんだ。


ギュッと目を瞑り、助けて!!って願うと、カランコロンと下駄の歩く音が聞こえた。


「女の子を襲って何をしてるんだ?その子から離れるんだ」


そう男の子の声が聞こえて、私は目を開けた。

男の子は昔助けてくれたお兄さんのように、片目が隠れていた。

お兄さんみたいな子が来た。

お兄さんとは違う茶色の髪で、黄色いちゃんちゃんこを羽織っている少年は助けてくれるのか化け物に離れるように促したが、化け物は少年の声に従わずに私の首を掴んだ。


「っぐ!!」


苦しくてつい声を漏らすと、少年はこちらに向かって走り出した。


「止めろ!!女の子を離すんだ!リモコン下駄!!」


そう少年が叫ぶと下駄が飛び化け物にぶつかる。

ぶつかった衝撃で手が離れ私は地面に座り込み、咳き込んだ。


あの日のような動きで下駄が弧を描き少年の足にハマった。

まるであのお兄さんの様な光景に、私は目が離せなくなった。

少年は化け物に向かってまた下駄を飛ばしたり、髪の毛が飛んで化け物が目に当たったのか目を押えてのたうち回っている所を、体から雷が出て化け物に的中して化け物は悲鳴を上げるとまた姿がボロボロと崩れ去り消えてしまった。

た、助かった…。


呆然として少年を見つめる私に、少年はこちらにカランコロンと音を鳴らしながら近寄り座り込む私の手を掴むと立ち上がらせてくれた。

「大丈夫かい?」

「ありがとうございます。だ、大丈夫です」

「怪我もないようだな。間に合ってよかった」

「あの、もしかして同じように片目の隠れたお兄さんがいませんか?」

「…いや?僕には兄はいない筈。ねえ、父さん?」

「…儂の事を知っとる様子じゃし、その面影はもしや前に会ったお嬢ちゃんじゃな?あれから少し大きくなったんじゃな〜」

そう声が聞こえたと思えば、少年の髪からひょこっと目玉が出てきてギョッとしてしまう。

「姿が変わっているからのう。驚くのも無理は無い」

「父さんが昔言っていた女の子の話の子ですか?確かに、不思議な力を感じますね。それにしては、年齢が幼すぎませんか?父さんの話では大分前の事のはずでは?」

そう首を傾げる少年に、私も首を傾げる。

時間の流れが違う??

いや、何で??


魔法を連発したにしては、体にかかる倦怠感も謎だし。


「お兄さんが目玉になった??」

「そうじゃよ。そう言えば名乗ってなかったのう。儂の名はゲゲ郎じゃ。そして、こっちが儂の倅の鬼太郎じゃ」

「ゲゲ郎さんに、鬼太郎君?私は#名前です。助けてくれて本当にありがとう!ゲゲ郎さんにも会えてよかった」

「また襲われとる所なのはあれじゃが、儂も心配してたから会えて嬉しいわい」


そう微笑んでくれるゲゲ郎さんに私も笑う。

そう言えば、何だか鬼太郎君の名前に聞き覚えがあるような??



目玉の姿になったゲゲ郎さん、前の姿のゲゲ郎さんに会えないのは残念だな。

なんて考えたらポン!と音と煙が上がり、なんと目玉の姿から昔会った男の人の姿のゲゲ郎さんが居た。

「ええ??」

「と、父さん??」

「な、何が起こったんじゃ??この姿は?」

3人が慌てふためく中、ゲゲ郎さんが自分の姿を見渡すと大粒の涙を零しながら鬼太郎君を抱きしめるもんだから、私はただその、光景を見ていた。


「まさか鬼太郎を抱きしめれる日が来るとは思わんかった!!鬼太郎〜!!」

「と、父さん?」


ボロボロと流れる涙が鬼太郎君の服を濡らす。


「もしかして、これは🌸ちゃんの力?僕らがここに飛ばされたのも繋がるし」

「そうじゃな。儂がこの姿に戻れるのも納得出来る。もしそうなら、🌸ちゃん本当に有難う。儂は鬼太郎が産まれてからというもの、目玉の姿になっておって、鬼太郎を抱き上げる事も出来んだのじゃ。それが抱きしめる事が叶うとは思わんだよ」


そう言って泣きながらお礼を言われて、私は頭を下げた。


「そんな、私はいつも危ない所を助けてもらってるし、なんでこんな事が起きたのか分からないし…」

「力の使い方が分からないのは困りましたね。僕達もその力の使い方は分からないから教えてあげれないし」

「きっとそのうち分かるはずじゃよ。もしまた危ない目にあいそうだったら、儂らが🌸ちゃんを守るから助けを呼ぶんじゃぞ?」

「はい!また2人に会いたいから、またもし会えたらよろしくお願いします」

「あい分かった。そろそろ時間のようじゃな」


薄らと2人の姿が消えていく様子を見て、ゲゲ郎さんがそう言うと私に手を振ってくれた。

「またね🌸ちゃん」

「また会おう」

「2人ともありがとう!」

そうお礼を告げると2人の姿は完全に見えなくなり、私もガクッと力が抜け膝を着いた。

この感覚はやっぱり魔力切れだ。

もしかして、ユニーク魔法だったりするのかな?

それだったら色々調べないと。


私がこの力を使いこなせたら、きっとまた2人に会えるはず。




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